ユートピア

君の人生において、涙をどの位流しどれ程泣いたか数えているかい?君は涙の数だけ強くなれて意味不明な宗教やビジネスをキッパリ断ったかい?
私は何回も涙を流したが強くなれたのだろうか?私はまだ分からない。出会い系で知り合った女性に「未来について」の話されて無理矢理、ビジネス勧誘をされた日、私は涙を流した。次の日ブロックした。出会い系で今から会うとウキウキルンルンした日、午前二時踏切に精子を担いでった待てど暮らせど催涙雨を大量に流した。初めてチェリーからチェリーブロッサムへと開花させた日、私は嬉し涙を流し朝帰りをした。人生において初めて彼女が出来た日、感情が追い付けず涙を流した。そして彼女に振られたあの日、またもや感情が追い付けず生まれて初めて涙が枯れた。泣きたかった。只、涙はもう出る事はなかった。思い出が全て流れ気づけば私の家は沈みそこにはダムが完成していた。ダムが出来たお陰で思い出は堰き止められ全て流される事なくあの日あの時間を鮮明に今も覚えている。好きな作曲家がマスコミにやられ引退した日、その作曲家の歌を聴いて涙を流した。不慮の事故で骨折し入院した日、五月蝿くならないように涙を流した。人生が終わったと悟った日も沢山あった。
君は私より酷いかい?それともマシかい?もしくは脂マシマシかい?君の意見も是非訊かせて欲しい。
さて、私はお仕事をしている。当たり前だ。生活費、趣味、冠婚葬祭、交通手段と公共交通機関、突然の別れの為に皆、何かしらのお仕事をしている。ちなみに私は推し事をしていた。そう、私には推しが居たのである。誰しも推しを創り推しの為に行きていく。そんな推しと5月で急にお別れした。
私は初めて推しが出来た。あれは昨年のゴールデンウィーク。COVID-19のせいで全て予定が潰れゴールデンウィークも暇になってしまった。ならばせめて仕事を癒されたいと思い、デブ専デリヘルを眺めて推しを選んだ。どんな感じなのかはたまたタイプではなくて今日でサヨナラかまるで今から落ちると分かっていながらも絶叫するジェットコースターのようにドキドキと楽しみで緊張した。
扉を開けて中に入り挨拶し他愛もない話をしてプレイをし、豊満なボディーとは裏腹に可愛い顔、話が不思議で面白いしこちらの話も全て笑ってくれる彼女は直ぐに推しへと昇格した。たった120分で推しになるくらい私を落とすのは簡単である。ハニートラップなんてやられたらもう死ぬのみ。
それから推しに会いたいという気持ちが強過ぎて二週間後にまた頼んだ。コスプレや顔面騎乗にまた他愛もない話をし別れたそれから7月までは月2回のペースで頼んでいた。8月に4時間コースを頼みいつもと長く推しと一緒に居れるのは幸せだった。時計の針を逆に回したい位に楽しい時間はあっという間だった。私は4時間コースを頼んだが残りの1時間で必ず寝落ちしたが推しは起こす事無く抱き締めて銀河の果て迄私は辿り着いた。一緒にハグして寝てくれるという行為が私の疲れを癒した。それから9月も頼んだが体調不良の為会えなかった。
月日は流れ今年の3月に久々に頼んだ。私が推しを嫌ったのだと思っていたらしい。正直言って客と嬢の関係でビジネスであっても心配してくれた推しには嬉しかった。久々の推しプレイはやっぱり全て最高だった。そして4月にも頼み推しが6月か7月で店を退職する旨を私に伝えた。良く聞く話でずっと存在するとは限らない。そんな日が来るのは心の何処かで分かっていた。いつか別れが来るだから行ける時は行こうと誓った。そして別れ際の「来月も宜しくね」のハグの後、推しは店を退職していた。別れは本当に突然だった。悲しかった。もう二度と推しに会えないし話せないしあの幸せな時間は来ないかと思うと悔しくてため息が出る。只、申し訳ないが安堵もした。「もう金を遣わないで良いのかと」。だから涙は一滴も出なかった。でも悲しい感情はある。何を言ってるのか分からないと思うが君も推しを創れば多分同じ感情になるだろう。無論、推しの事は好きだ。だが好きがラブになれば推しに危険が及ぶので違う意味で会いには行けない。それを自分で分かっていたので努努、私は好きにならなかった。勿論、体も顔も性格も好きであり可能なら付き合いたいがそれは行き過ぎた行為であり夢のまた夢の話である。ここで推しが私の事好きであり付き合う話はパラレルワールドを何回も行ったり来たりしないと現実にならない。私が推しをラブにならないのは推しも知っていたからより良く親密な関係になれたと勝手に思っているし信頼も得たからクソ客の愚痴、店の悪態、プライベートの写真、他の客にやらないような事を推しはしてくれた。「君が月末に来るから出勤するね」のメッセージは客と嬢との関係で言われるとら思ってなかったので喜んだ。ぶっちゃけ私はビジネスだから相手してくれたのでプライベートでは絶対に混じり合う事は無いと思う。推しはビジネスだか信頼を得なきゃ本当の姿は分からなかったので私だけの推しが見れて本当に良かったと思うし推し以上の推しは出来るか分からない。
サヨナラだけが人生だ。
私は強くなったから涙を流さなかったのだろうかそれとも金を遣わない方が勝ち涙を流さなかったのだろうか。もしかしたら推しとの思い出に浸り今泣いているのだろうか?君は推しが居なくなった時は泣いたか?泣いてないか?私は泣けなかった。時がいつか2人をまた初めて会ったあの日のように導く日はもう来ない。多分私が涙を流さなかったのは必ずいつか消えると分かっていたからだと思う。それこそいきなりフェードアウトしたら泣いていたかもしれない。
そんな長く短い祭りは一年で幕を閉じた。
もう会う事はないでしょう
マタアイマショウ